11 February.
犬の歯磨きのやり方完全ガイド!嫌がる時の対処法とおすすめグッズ
「なぜ歯磨きが必要なのか」という理由から、初心者でも絶対に失敗しない歯磨きのやり方、どうしても嫌がる子への対処法を解説します。

「愛犬の口臭が最近気になるようになった」
「歯磨きをさせたいけれど、口を触ろうとすると逃げ回る」
「歯ブラシ以外に効果的な方法はないの?」
など、多くの飼い主さんが歯磨きに関する悩みを抱えています。
犬の口腔ケアは単なる「エチケット」ではなく、愛犬の寿命を左右する「命に関わるケア」であることをご存知でしょうか。
3歳以上の犬の約80%が歯周病、あるいはその予備軍と言われる現代。放置すれば、歯を失うだけでなく、心臓や肝臓といった内臓疾患を引き起こすリスクも指摘されています。
この記事では、「なぜ歯磨きが必要なのか」という理由から、初心者でも絶対に失敗しない歯磨きのやり方、どうしても嫌がる子への対処法を解説します。
犬に歯磨きが必要な理由
「野生のオオカミは歯磨きなんてしないのに」という意見を耳にすることがありますが、家庭犬と野生動物では、食事の内容も平均寿命も全く異なります。まずは、ケアを怠ることで愛犬の体の中で何が起きるのかを理解しましょう。
歯垢(プラーク)は3日で歯石に変わる
人間の場合は、歯垢(プラーク)が歯石に変わるまでにおよそ25日ほどかかります。しかし、犬の口腔内は弱アルカリ性(pH8.0〜8.5程度)であり、細菌が非常に繁殖しやすい環境です。そのため、歯垢が歯石へと石灰化するスピードは、人間よりもはるかに早い「3日〜5日」と言われています。
平日の3日間サボっただけで、歯ブラシでは落とせないカチカチの歯石が形成されてしまうというわけです。
歯周病から病気になるリスク
愛犬の口臭を「加齢のせい」で片付けてしまうのは非常に危険です。
アメリカ獣医歯科協会(AVDC)が発表しているデータによれば、3歳以上の犬の約80%がすでに何らかの歯周病を患っていることが明らかになっています。さらに、日本国内の臨床現場においても、重度の歯周病が単なる口内のトラブルに留まらず、愛犬の健康寿命を著しく損なう全身疾患の引き金になることが指摘されています。
なぜ、口の中の炎症が全身に及ぶのでしょうか。その理由は、歯周病菌が炎症を起こした歯肉の血管から直接体内へ侵入し、血流に乗って全身を駆け巡るからです。この現象は「菌血症」と呼ばれ、特に心臓へ悪影響をあたえます。実際に、犬の口腔内細菌と心疾患の相関関係については多くの研究報告があり、心臓の弁に付着した細菌が心内膜炎を引き起こし、最終的に心不全を招くケースも少なくありません。
また、血液のフィルターとしての役割を持つ腎臓や肝臓にも影響を与えることがあります。慢性的な歯周病を抱えている犬は、そうでない犬に比べて腎不全の発症リスクが高いという統計もあり、日々のケア不足が愛犬の主要な臓器をじわじわと蝕んでいく事実を否定できません。
そして、小型犬の飼い主さんが決して無視できないのが、顎の骨への影響です。日本獣医歯科学会の症例報告でも確認できますが、進行した歯周病は歯を支える土台である顎の骨(歯槽骨)を溶かしていきます。特にトイプードルやチワワといった下顎の骨が薄い犬種では、歯周病によって骨の強度が極端に低下し、硬いものを噛んだ拍子や、少しの衝撃で顎が骨折してしまう「病的骨折」を引き起こすことが臨床現場で確認されています。
このように、歯周病を放置することは、愛犬を常に全身疾患のリスクに晒し続けることと同義です。「たかが口臭」と放置せず、歯磨きをするべき理由をご理解いただけましたでしょうk。
歯磨き不要説のウソとホントを検証
巷には「これさえあれば歯磨きは不要」という製品が溢れていますが、本当に歯磨きをしなくてもいいのでしょうk。
歯磨きガムだけで大丈夫?
結論から言えば、「ガムだけでは不十分」です。
ガムを噛むことで歯の先端(咬合面)の汚れはある程度落ちますが、最も歯周病になりやすい「歯と歯茎の境目(歯肉溝)」のケアはできません。ガムはあくまで「ブラッシングの補助」として捉えましょう。
ドライフードなら汚れない?
「ウェットフードは歯につきやすいが、ドライフードはつきにくい」というのは事実です。しかし、ドライフードも噛み砕いた際に粉状になり、唾液と混ざって歯垢になります。ドライフードを食べているからといって、歯磨きをしなくていいわけではありません。
水に混ぜる・塗るだけのジェル
ジェルは口内の殺菌効果や、汚れを付きにくくするコーティング効果を期待できますが、「すでにこびりついた粘着性の高い歯垢を剥がし取る」除去力はありません。
キッチンのヌメリを、洗剤をかけるだけで放置しても綺麗にならないのと同じです。やはり「こする」という作業が必要です。
犬が歯磨きを嫌いにならないためのアプローチ方法
いきなり歯ブラシを口に入れられたら、犬は歯磨きが嫌いになってしまいます。歯磨きに嫌な印象を持ってから良い印象を持たせるのは難易度が高いので、以下のステップで歯ブラシと歯磨きに良い印象を持ってもらいましょう。
ステップ1:マズル(口周り)に触れる練習
まずは「口を触られる=いいことが起きる」というポジティブな記憶を植え付けます。
- リラックスしている時に、マズル(鼻の周り)を一瞬だけ触る。
- 嫌がらなければ「お利口!」と褒めて、大好きなおやつを1粒あげる。
- 徐々に触る時間を長くし、唇をめくって歯を見せても怒らないように慣らす。
ステップ2:指で「味」を舐めさせる
歯磨きを「掃除の時間」ではなく「おやつの時間」に変えます。
- 指先に、犬用のフレーバー付き歯磨きジェル(チキン味やレバー味など)を塗る。
- 愛犬に舐めさせる。
- 「指が来ると美味しいものがもらえる!」と愛犬が自分から寄ってくるまで繰り返す。
ステップ3:指にシートを巻いて拭く
いよいよ「こする」感覚を教えます。
- 人差し指に市販のデンタルシート、または濡らしたガーゼを巻く。
- その上にジェルを塗り、前歯の表面を優しく円を描くように1〜2秒拭く。
- 少しでも拭かせてくれたら、オーバーに褒めて最高のご褒美をあげます。
ステップ4:歯ブラシで歯磨きをする
ここでようやく歯ブラシの登場です。
- 歯ブラシの選び方: 人間用はヘッドが大きく硬すぎるため、必ず犬専用の、毛先が柔らかくヘッドが小さいものを選んでください。
- 角度: 歯に対して45度の角度で当てると、歯周ポケットに毛先が入りやすくなります。
- 磨く順番: 犬が嫌がりにくい「前歯」から始め、嫌がらなければ「犬歯」「奥歯(後臼歯)」も磨きます。
- 外側だけでOK: 犬の歯の内側(舌側)は、舌が動くことである程度自浄されます。まずは最も汚れが溜まる「外側(頬側)」を重点的に行いましょう。
愛犬が歯磨きを嫌がる時の対処法
歯ブラシを見ただけで逃げる場合には、以下のことを試してみてください。
① 「背後から抱っこ」のポーズ
正面から向き合って顔を覗き込まれると、圧迫感や威嚇感を感じます。
飼い主さんが床に座り、愛犬を股の間に挟むようにして、同じ方向を向いて後ろから抱っこしてください。
② 「3秒ルール」で終わらせる
完璧を目指す必要はありません。今日は「右上の犬歯だけ」、明日は「左下の奥歯だけ」と決め、嫌がる前にパッと終わらせます。
「もうちょっとできそうかな?」というところでやめるのが、ポイントです。
③ ご褒美の「後出し」をしない
歯磨きが終わってからおやつを準備するのではなく、あらかじめ見える場所に最高級のご褒美(肉など)を用意しておきます。「これを磨き終われば、アレがもらえる!」というモチベーションを最大限に利用しましょう。
④ 夜の散歩後や、遊び疲れた時を狙う
元気があり余っている時は、犬も全力で抵抗します。たっぷり散歩に行き、夕飯を食べて、ウトウトと眠そうにしている時がチャンスです。
⑤ 道具を「指サック型」に変える
プラスチックの棒(歯ブラシ)が口に入るのを極端に怖がる子がいます。その場合は、シリコン製の指サック型歯ブラシや、布製のフィンガータイプを試してください。飼い主さんの指の感触が伝わるため、安心する子が多いです。
犬の歯磨きに関するよくある質問
何歳から始めるのがベストですか?
理想は、家に迎えたその日からです。乳歯のうちから口を触られることに慣れておけば、一生の習慣になります。もちろん、成犬からでも遅すぎることはありません。今日が一番若い日です。
人間用の歯磨き粉を使ってもいい?
絶対にダメです。 人間用には発泡剤や研磨剤、そしてキシリトールが含まれています。キシリトールは犬にとって低血糖や肝不全を引き起こす猛毒です。必ず犬用の歯磨きジェルを使うようにしてください。
まとめ:歯磨きは愛犬への最高の愛情表現
歯磨きは、1日や2日頑張ったからといって劇的な変化が見えるものではありません。今日練習を始めたからといって、明日すぐにピカピカの歯が手に入るわけでも、口臭が完全に消えるわけでもないでしょう。
一番大切なのは、焦らないこと。もし愛犬が歯ブラシを見て逃げてしまったら、その日は無理をせず、口元を優しく撫でるだけで終わらせても構いません。たとえ1週間のうち数日しか磨けなかったとしても、何もしないよりはずっとよいです。
愛犬の健康のためにも、毎日少しずつ歯磨きに取り組んでみてくださいね。
著者
DogLife編集部



